「日本酒は旨い!」に迫る Ver.2 ~酒米から美味しい日本酒を探る~

 「この酒は旨い!」

 日本酒好きな人なら、1つや2つ好みの銘柄をあげて、多少なりとも“うんちく”めいたものを語りながら、酒を楽しんでいるのではないだろうか。



 美味しく感じるセンサーのようなものは、十人十色。旨いまずいに正解不正解はない。


 料理との相性や、飲み方、場の雰囲気にも、美味しさを感じさせる要素はつまっている。


 今回、そんなフィーリング的なものは少し傍らに置いて、酒米という、酒造りの根幹を成す米から、「日本酒は旨い!」に迫ってみたいと思う。





収穫時期により米の品質が変わり、味わいも変わる

 前回、日本酒を造るのに適した「酒造好適米」について記したが、日本では今、酒造好適米と呼ばれる米は100品種以上存在すると言われている。


 なかでも、『山田錦』は生産量日本一で、主に兵庫県など西日本を中心に栽培されている。また、生産量2位の『五百万石』は、新潟など北陸中心に栽培され、2001年に1位の座を明け渡した山田錦と合わせると、2品種で全国60%以上の生産量を誇っている。


 栽培時期も米質も違う、代表的なこの両方の米を比べてみると面白い。


 米は元来、収穫時期により、早生(わせ)、中生(なかせ)、晩生(おくて)に分類される。酒米は削りだしの部分があり、食用の米より大粒の米が用いられるのが常だ。



 米を大粒に仕上げるためには、当然、稲穂を刈り取る時期も遅めになる。

 よって酒米は、山田錦のように10月中旬くらいに収穫する晩生の品種が適していると言われている。


 これに対し、五百万石は、8月下旬には収穫する早生の品種。その分、米の中心部のでんぷん質である心白も小さめであることから、削りも少なく、雑味も備えた味わいのある酒に仕上がる。




収穫量日本一の酒造好適米『山田錦』

 もともと『山田錦』は、稲穂の高い母方の品種『山田穂』と稲穂の短い父方『短稈渡船(たんかんとせん)』との交配によって生み出された品種だ。






 草丈が最大150センチくらいまで成長する山田錦を栽培するには、強風に負けない丈夫な稲をつくる必要があり、日当たりがよく、栄養分の吸収をよくするために、も、苗の作付けの間隔を開ける必要がある。



 贅沢なつくりかたということでは、農家にとっては、食用の米を栽培するよりも、技術的にも時間的にも苦労が堪えず、どうしてもコスト高となってしまうのだ。



 特に山田錦の場合、酒造好適米の栽培条件である、


① 米粒が大きく、心白の比率が高い


② でんぷん質の含有量が多い


③ 吸水性がよく糖化されやすい


 という3条件を高いレベルで満たしているため、その分、コストはかさむ。

ただ品質の高さゆえ、収穫量日本一を維持しているともいえよう。




酒米の品種で旨いを探る

 山田錦や五百万石が主流の酒造好適米であるが、現在では様々な品種が改良を重ねられ、次々といい品種が世に生み出されている。


 最近では、米作りそのものから行う酒蔵もあり、酒造りにおいての米の重要度は増しているといえよう。


 旨い日本酒をつくるために、様々な条件に照らし合わせ、米からこだわりを持つ日本酒。



 酒米の品種から、味覚の特徴をつかみ、自分だけの“旨い日本酒”を探っていくのも面白いかもしれない。



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